荒木 香織 氏

順天堂大学
スポーツ健康科学部 客員教授

抄 録

 ラグビー日本代表を変えた『心の鍛え方』

 私たちは、身体の健康を保持すべく正しい生活習慣を身に付けるよう幼少期から教育を受けます。疾病予防のための、健康診断も未就学時より毎年課されます。しかしながら、心の健康(メンタルヘルス)については、教育を受けることもないため、その大切さについて周知されてきませんでした。スポーツにおいては、日常のトレーニングを通じ、心の状態を適切に保つことや、試合への準備を含むコンディショニング、そして試合中に実力を発揮するためのメンタルのトレーニングなどに焦点が当てられてきています。しかしながら、ラグビーの日本代表選手もスポーツ科学に基づいたメンタルのトレーニングを積み重ねてきた集団ではありませんでした。そこで、W杯で勝利を経験したことがない選手たちは、世界と戦うメンタリティを構築する必要がありました。心を鍛えることは、アスリートや指導者だけではなく、仕事や家庭を含む日常のパフォーマンスを遂行する私たちにも不可欠です。メンタルヘルス、マインドセット、及びレジリエンスなどの概念とともに、日本代表の選手が取り組んだ内容についてお届けします。

学 歴

博士(Ph.D.):米国ノースカロライナ大学大学院グリーンズボロ校
運動スポーツ科学(スポーツ運動心理学専攻)
修士(M.A.):米国ノーザンアイオワ大学大学院教育学研究科 健康・体育・
レジャーサービス(スポーツ心理学専攻)

社 会 活 動
アジア南太平洋スポーツ心理学会 副会長
日本体育・スポーツ・健康学会 理事
日本スポーツ心理学会 理事

略 歴

米国にてスポーツ科学(専門:スポーツ心理学)を学び、修士課程、博士課程を修
了。主な研究分野は、スポーツにおける完全主義傾向、環境とレジリエンス、女性
とスポーツ。教育、研究活動のほか、最新の科学的知見を基盤として、アスリート、
指導者、アーティスト及びビジネスパーソンを対象にメンタルパフォーマンストレ
ーニングのプログラム及びセミナー、講演等を提供している。著書に、『リーダーシ
ップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力』(講談社)、『ラグビー日本代表
を変えた「心の鍛え方」』(講談社+α新書)

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